久しぶりに自分が第一著者&責任著者の論文が採択となりました。
Nakao, T., Miyagi, M., Hiramoto, R., Wolff, A., Gomez-Pilar, J., Miyatani, M., & Northoff, G. (In press). From Neuronal to Psychological noise - Long-range temporal correlations in EEG intrinsic activity reduce noise in internally-guided decision making. Neuroimage. https://doi.org/10.1016/j.neuroimage.2019.116015
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この論文では、何もしていないときに記録される自発脳波の時間的一貫性と、自分の価値基準の時間的一貫性とに関連があることを報告しています。より具体的には「覚醒安静時に頭皮上から記録される自発脳波のアルファ帯域における時間的一貫性(図の上側;Long-range temporal correlation, LRTC)が高い人ほど、自分の内的な基準により選択する意思決定(例:自分が就きたい職業の選択)における一貫性も高い(上の図の下側;価値基準が明確、価値基準に含まれるノイズが少ない)」という結果を報告しています。
また、この自発脳波のLRTCや内的基準による意思決定の一貫性が高い人ほど、意思決定直後に観察される事象関連電位(conflict-related negativity; CRN)の振幅に、競合(迷い)の程度が明確に反映されることも明らかとなりました。
これらの関係は外的環境における基準により選択する意思決定(例:平均給与の高い職業の選択)では認められませんでした。
このことからいくつかのことが示唆されます。
神経活動の非線形なダイナミクスと、いわゆるアイデンティティにも絡みそうな自己の一貫性との関連について、その一端を垣間見ることはできたかなぁと思います。
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2019年7月16日火曜日
論文が採択されました。
2018年4月10日火曜日
2017年4月30日日曜日
長女が自転車に乗れるように...他
昨日、長女が自転車の補助輪なしで乗れるようになりました。これまでさほど練習する機会が作れなかったけど、成長してその時期になっていたのでしょう。すぐに乗れるようになりました。うれしいもんですね。本人もかなりうれしかったらしく、今日も公園で練習です。
仕事面は色々とネガティブなことが多い気がします。かなりお世話になった親しい方が異動されたり、国立大学の置かれている状況の厳しさからくる、経費削減、人員削減、仕事の増加、要求水準の上昇などなど...。上の方はもっと大変なんでしょうけど、まだ自分でも研究したい気持ちがくすぶっている中で、論文読む時間を取るのも難しい現状はなかなかなものです。この国(政府や国民を含む)は大学が担っている機能の重要性をどう考えているのでしょうね。デフレの影響か、すぐに役立つ技術・知識以外には資源を割かないという考え方に未来があるようには思えませんが(そんなのは企業でも取り組まれるんだから、むしろそれ以外の側面こそ大学が担わないといけないはずなのに)。デフレは現在も進められている金融緩和に加えて財政出動を適切に行えば抜け出せるはずなのに...。理屈だけではうまくいかない、いろんな難しさがあるんでしょうけど...
...と、つい愚痴ってしまいましたが、学生の成長など、いいこともあるので、そこに目を向けつつ、現在の立場で働けることに感謝しながら過ごしていこうと思います。
2016年9月1日木曜日
内的基準による意思決定では,反応後のβγパワーが選択による学習の程度を予測する
論文が出版されました。現在のポストに就いた後に開始した研究がようやく形になってほっとしております。
Nakao, T., Kanayama, N., Katahira, K., Odani, M., Ito, Y., Hirata, Y., … Northoff, G. (2016). Post-response βγ power predicts the degree of choice-based learning in internally guided decision-making. Scientific Reports, 6, 32477. http://doi.org/10.1038/srep32477
Nakao, T., Kanayama, N., Katahira, K., Odani, M., Ito, Y., Hirata, Y., … Northoff, G. (2016). Post-response βγ power predicts the degree of choice-based learning in internally guided decision-making. Scientific Reports, 6, 32477. http://doi.org/10.1038/srep32477
内的基準による意思決定 (internally guided decision-making) とは職業選択や結婚相手の選択のように、客観的基準のみでは正答が一つに決まらない事態での意思決定です。正答がありませんので、自分の性格・能力、好み、価値基準といった自己の内的基準による判断が求められます。正答が存在しないため、選択した後に正答が何であったかを示すフィードバックは提示されません。
そのような事態では、自分の選んだものを正答とみなしているかのような学習(好みや選択確率の変化)が生じることが知られています(choice based learning)。選んだもの(職業や結婚相手)を好きになる、という変化です。選択そのものが学習を生起させることから、選択後の脳活動が学習と関連していることが考えられますが、それを調べた研究はありませんでした。
本研究では、選択後に観察される脳活動の成分(βγ帯域のパワーの上昇)が,後の選択確率の変化の個人差を予測することを示しました。つまり、選んだ後にこの脳活動の成分が観察された人は,選んだものを好きになる(もしくは選ばなかったものを嫌いになる)が、そのような成分がみられなかった人はそのような好みの変化は生じないということがわかりました。結婚の例で言えば、自分の結婚相手が自分と結婚することを選んだ直後にこの脳活動の成分が出ていれば、結婚後にはその結婚相手は自分のことをより好きになってくれる確率が上がる、といえます。
前頭中心部のβγパワーの上昇がどのような心理的側面と関連しているのかについては本研究から結論することはできていません。しかし、同様の成分は選択後に報酬によるフィードバックが提示された際に観察されていることが知られていることから、報酬関連のプロセスが自分の基準により選択した後に生起した場合に、学習が生起している可能性が考えられます。
正答が決まってないような場面で、選択した事自体で良い気持になること(楽しく選択する、もしくは選択後に達成感を得るなど)で、自分の価値基準が明確になっていく、というプロセスの一端を反映しているのではないかと考えています。
2015年4月29日水曜日
河合塾の進学情報誌Guidelineで広島大学認知心理学研究室が紹介されました。
河合塾の進学情報誌Guidelineの2015年4・5月号 「注目の学部・学科」でうちの認知心理学研究室が紹介されました。以下からPDFがご覧になれます。
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